僕が5年間弟子入りしたナーダヨギ(音楽修行僧)の紹介をします。
↑インド政府観光局の冊子で紹介されたスワミジ(Veena Maharaji) 。
<バドリナート >
1977年夏、僕はシタールを学ぶためインドヒマラヤのガルワール地方にあるバドリナートに向かった。
バドリナートはヒマラヤの玄関口と呼ばれるリシケシ(ヨガアシュラムが多くあり、ヨガを習得する人たちが世界中から集まってくる聖地)からバスで2日間の行程で、途中12時間走ったジョシマットという村で一泊し、翌日同じ乗客を乗せ、さらに険しくなったヒマラヤの山道を3時間ほど揺られ、ガンジス河に沿って上った標高3,133メートルの高地にある聖地だ。
何千年も前の古代から、リシケシから奥の北に広がる一帯はウッタラカンドと呼ばれていて、バドリナートをはじめ、ヤムナトリ、ガンゴトリ、ケダルナートといった聖地が天に届くかのよう聳えるヒマラヤの峰々の奥深くに点在している。
ヒンドゥーの世界に住む人々にとってヒマラヤの峰々は「神々の住処」であり、聖なる場所なのだ。彼らにとってはヒマラヤの彼方が浄土であって、ウッタラカンドは天界へ通じる聖域なのだ。
☆バドリナートのスワミジ(ナーダヨギ・D.R.Parvatikar)へ弟子入りした5年間のことを書きました。ヒマラヤ音巡礼―シタールに魅せられて
<ヴィーナ・マハラジ>
以前インド人の友人からヴィーナ・マハラジと呼ばれて尊敬を集めているナーダヨギがバドリナート寺にいると聞いていた。ナーダヨギとは音楽を通して瞑想、修行、悟りを得る伝統的なヨガ行者のことで、声、楽器の練習を積む行為を修行としている僧のことだ。
本名をD.R.Parvatikar(パルワティカル)といい、ビーン(ルドラヴィーナ)という楽器の奏者で、高名なヨガ行者でもあり、彼は毎朝日の出とともにビーンを奏でているという。そんな話しを聴きながら、僕はヒマラヤでビーンを奏でるヨガ行者の姿をイメージした。
当時、自分でもギターを弾き音楽に携わっていたので、いったいナーダヨギとはどういう人なのか、ぜひ会って確かめてみたいという気持ちがイメージした荘厳な光景と共に込み上げてきたのだった。
今までの音楽に何か新しい音を取り入れて、自分の音楽を創ってみたいと何となく考えていた頃にインドの古典音楽を耳にし、同時にシタールという楽器が醸し出す独特の雰囲気に魅せられ、胸の奥から「彼に弟子入りして、シタールを奏でてみたい」という想いが、堰を切ったように溢れ出てきたのだった。今にして思えば、それこそが神の導きだったような気がするが、僕は彼に弟子入りするために、ここバドリナートにやって来たのだ。
☆動画の上の真ん中あたりにバドリナート寺院、下方にアラクナンダ川が見えます。巡礼者の人たちは手前に見える湯気が立ち上る温泉に入ってから参拝をします。40年前とほとんど変わっていません。↓